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IKIGAI Tasteシリーズ|グルメ

  • 執筆者の写真: IKIGAI NOW
    IKIGAI NOW
  • 6月18日
  • 読了時間: 13分

更新日:7月17日


7月、日本がいちばん美味しい──北から南へ、旬の恵みを味わい尽くす旅


真夏の陽光が列島を包むとき、一口ごとに大自然からの最高の贈り物に出会う。


掲載日:2026年6月18日

7月の日本は、生命力に満ちあふれ、実り豊かな季節です。

北海道・オホーツク海から九州の温暖な田園地帯まで、降り注ぐ太陽の光は、日本列島の隅々にまで惜しみなく恵みを与えます。海では魚介が産卵期を迎える前にたっぷりと脂を蓄え、畑では果実が十分な日差しを浴びて、最も濃厚な甘みを育みます。

「旬」の味を求める旅人にとって、7月ほど味覚が華やぐ季節はありません。北から南へ、海から山へ──どこを訪れても、「今、この瞬間だけ」の美味しさに出会える特別な季節です。

今回、IN編集部は北海道から旅をスタートし、日本列島を南へ縦断しながら、7月にしか味わえない六つの極上グルメを巡ります。それぞれの食材に秘められた物語や歴史、愛した著名人のエピソード、そして何より「どこで最もお得に味わえるのか」までご紹介します。



第一の目的地|北海道・積丹──ウニ

「あの濃厚な甘みは、北海道の短い夏がくれた、最高に贅沢な贈り物。」

7月の北海道の海の幸を語るなら、ウニを外すことはできません。それは、夏を語るのに花火を語らないほど不自然なことです。

北海道・積丹半島のウニは、毎年6月から8月にかけて全国の美食家がこぞって訪れる夏の風物詩です。

積丹の海は「積丹ブルー」と称されるほど透明度が高く、その息をのむような海岸美は、それだけで訪れる価値があります。

この海で育つエゾバフンウニとキタムラサキウニは、良質な利尻昆布を主な餌として育ちます。昆布が持つ豊かな旨味成分をたっぷりと蓄えたウニは、驚くほど濃厚でありながら上品な甘みを生み出します。



北海道産の生ウニは、100gあたり3,500~4,000円が相場――そんな話を耳にしたことがある方も多いでしょう。しかし、産地でいただくウニ丼は、驚くほどリーズナブル。水揚げされたばかりの新鮮なウニを、産地ならではの価格で存分に味わうことができます。


しかし、産地でいただくウニ丼は、驚くほどリーズナブルに楽しめます。

積丹半島で開催される「神恵内沖揚げまつり」では、限定600食のウニ丼が1杯2,500円。


流通コストも冷蔵輸送の時間も必要ありません。海から水揚げされたばかりのウニを、最高の鮮度で味わえる贅沢は、まさに産地ならではです。



興味深いことに、ウニ漁は「時化(しけ)」との戦いでもあります。

海が荒れれば漁船は出港できず、その日は新鮮なウニも市場に並びません。

だからこそ、一杯のウニ丼に出会えること自体が、天候という自然との駆け引きに勝った証でもあるのです。


美食家も愛した逸品

「食の王様」とも称された美食家・北大路魯山人は、生前たびたび北海道を訪れ、積丹のウニを絶賛したと伝えられています。

彼はウニの甘みを「海の脂」と表現し、その豊かな旨味は最高級の本マグロの大トロにも決して引けを取らないと評しました。



お得に購入するなら

·      神恵内漁港直売所(積丹半島)

·      小樽三角市場

·      札幌・二条市場(産地へ行けない場合でも比較的リーズナブル)



7月・ウニ価格の目安

商品

価格(税込)

積丹産ウニ丼(産地イベント限定)

2,500円

北海道産生ウニ(100g・市場価格)

3,500〜4,000円

小樽三角市場 ウニ丼

2,800〜4,500円

札幌二条市場 ウニ丼

3,000〜5,000円




第二の目的地|北海道・美瑛──とうもろこし


「生で食べられるとうもろこし? 北海道の人は笑ってこう言います。『一度食べてみれば分かりますよ。』」


海の幸の王者がウニなら、北海道の大地を代表する旬の味覚は、間違いなくとうもろこしです。


北海道は、日本全国のとうもろこし生産量のおよそ3分の1を占める一大産地。その中でも、美瑛町は特に高い評価を受ける名産地として知られています。年間収穫量は約3,990トンに達し、北海道を代表するとうもろこしの産地の一つです。7月中旬から9月上旬にかけてが最盛期を迎えます。



しかし、北海道の人々が本当に誇りにしているのは、焼きとうもろこしでも、茹でとうもろこしでもありません。

「生で食べられる白いとうもろこし」です。


「ピュアホワイト」や「雪の妖精」といった品種は、果物にも匹敵するほど高い糖度を誇り、そのまま生で味わうことができます。



一口かじると、シャキッとした食感とともに、果汁のようなみずみずしい甘さが口いっぱいに広がります。その味わいは、多くの人が抱く「とうもろこし」のイメージを覆してくれるでしょう。


とうもろこしが日本で広く栽培されるようになったのは、実は戦後のことです。北海道の大規模開拓とともに、飼料や食用作物として本格的に普及しました。

ところが、北海道特有の冷涼な気候と昼夜の寒暖差が、とうもろこしにより多くの糖分を蓄えさせることになりました。

まさに、北海道の寒さが、日本一甘いとうもろこしを育てたと言っても過言ではありません。


著名人も愛した味

タレントのタモリさんは、北海道で番組収録を行った際、生のとうもろこしを一気に3本食べ、

「これはもう野菜じゃない。果物だ。」

と驚いたというエピソードが語られています。

お得に購入するなら


美瑛町の農産物直売所「美瑛選果」や、富良野周辺の農家直売所がおすすめです。

札幌市内のスーパーでも7月下旬には購入できますが、価格は産地のおよそ1.5倍ほどになります。



7月・とうもろこし価格の目安


商品

価格(税込)

美瑛産 生食用ホワイトコーン(1本・産地直売)

200~350円

北海道産とうもろこし(1本・スーパー)

150~250円

美瑛選果 特選とうもろこし(3本セット)

800~1,200円

札幌市内スーパー(1本)

250~400円


第三の目的地|静岡・浜名湖──うなぎ


「江戸時代、一人の知恵者が放ったひと言が、日本の夏の食文化を変えた。」

7月の日本を語るうえで欠かせないのが、「土用の丑の日」です。

2026年の土用の丑の日は、7月19日7月31日


この日になると、日本全国のうなぎ専門店には長い行列ができます。

では、この風習はどのように始まったのでしょうか。



最も有名な説は、江戸時代の蘭学者・平賀源内に由来するとされています。

当時、あるうなぎ店が夏場の売り上げ不振に悩み、源内に相談したところ、彼はこう助言しました。

「土用の丑の日だから、『う』の付くものを食べると縁起が良い。」

そこで「うなぎ」を売り出したところ評判となり、大繁盛。


以来、「土用の丑の日にはうなぎを食べる」という習慣は、二百年以上にわたり日本の夏の風物詩として受け継がれています。



もちろん、7月にうなぎを食べる理由は、縁起だけではありません。

産卵期を前にした夏のうなぎは脂が最も乗り、身はふっくらとして格別の美味しさになります。

さらに、ビタミンAや良質なたんぱく質を豊富に含み、夏バテ予防にも最適な食材です。

香ばしく焼き上げた蒲焼きに、甘辛いタレが絡み、うなぎの旨みと脂が口いっぱいに広がる瞬間は、多くの日本人にとって「夏のふるさとの味」ともいえる特別な一皿です。



著名人も愛した味


戦国武将・徳川家康は、大のうなぎ好きとして知られています。

晩年、体力が衰えた際に医師から栄養補給としてうなぎを勧められ、好んで食べていたという逸話が残されています。

そのことから、家康は「日本最初のうなぎ愛好家」とも語られることがあります。



お得に味わうなら


静岡県・浜名湖は、日本を代表する養鰻の名産地です。

産地直送なら、東京より3割ほど安い価格で楽しめることもあります。

また、名古屋の老舗「四代目菊川」などでは、名物のひつまぶしも人気です。



7月・うなぎ価格の目安

商品

価格(税込)

浜名湖産うなぎ(1尾・産地価格)

2,500~4,000円

東京・うなぎ専門店「うな重(松)」

5,000~8,000円

名古屋・ひつまぶし(1人前)

3,500~6,000円

スーパーの蒲焼きうなぎ(1尾)

1,500~3,000円




第四の目的地|山梨・岡山──桃(もも)


「7月の桃をひと口頬張れば、夏の音が聞こえてくる。」

7月の日本を代表する果物を一つ挙げるなら、それは間違いなく桃でしょう。

7月から8月にかけては、桃が最も美味しい旬の季節。山梨県と岡山県は日本を代表する二大産地として知られ、それぞれに熱心なファンがいます。


山梨県では「日川白鳳」をはじめとする品種が人気で、きめ細かな果肉と高い糖度が魅力です。一方、岡山県の「白桃」は、上品な香りとあふれる果汁で全国的に高い評価を受けています。



桃が日本に伝わった歴史は奈良時代までさかのぼります。


当時、桃は邪気を払い、災いを遠ざける神聖な果実と考えられ、多くの神話や伝説にも登場しました。

なかでも「桃太郎」の物語は、日本人と桃との深い結びつきを象徴しています。桃から生まれた少年が鬼を退治し、人々に平和をもたらしたという物語は、日本文化に深く根付いています。

しかし、日本人が桃を心から愛する理由は、その圧倒的な「夏らしさ」にあります。

冷やした桃の薄い皮をやさしくむき、淡い桃色の果肉をひと口。


果汁が口いっぱいにあふれ、爽やかな甘い香りが鼻へと抜ける瞬間、夏の暑ささえ忘れさせてくれます。



7月のスーパーでは、桃1個がおよそ250~350円。

産地直売ならさらにお得に購入できますが、本当の違いは価格ではありません。

産地の桃は、木の上で十分に完熟してから収穫されるため、甘みも香りも、一般的な流通品とは比べものにならないほど豊かです。


著名人も愛した味

昭和を代表する文豪・川端康成は桃をこよなく愛したことで知られています。

『山の音』をはじめとする作品の中でも桃の美味しさを描き、「桃は夏の記憶を閉じ込めた果実」であるかのような情景を残しています。



お得に購入するなら


山梨県の「笛吹市フルーツ公園」周辺の農産物直売所や、岡山県の「桃茂実苑」などの産地直送施設がおすすめです。

また、7月中旬以降は全国各地の高速道路サービスエリアでも、産地直送の新鮮な桃が販売されます。


7月・桃価格の目安

商品

価格(税込)

山梨県産 白鳳(1個・産地直売)

200~300円

岡山県産 白桃(1個・産地直売)

250~350円

スーパーの桃(1個)

250~350円

高級百貨店 特選桃(1個)

500~1,000円

桃パフェ(カフェ)

1,800~2,100円




第五の目的地|千葉・熊本──スイカ


「夏にスイカがないなんて、7月への最大の失礼だ。」

7月の暑さを癒やしてくれる果物といえば、やはりスイカです。

日本のスイカの旬は、南から北へとリレーするように移り変わります。

毎年11月頃に高知県から始まり、沖縄、九州、本州を経て、最後は北海道へ。

そして7月になると、日本全国の産地が一斉に最盛期を迎えます。



スイカの歴史は、私たちの想像以上に古く、原産地はアフリカとされています。

約2,500万年前にはすでに存在していたと考えられ、およそ4,000年前には古代エジプトで栽培されていました。壁画にはスイカを育てる様子まで描かれています。

日本へは平安時代から室町時代にかけて、中国・朝鮮半島を経由して伝わったと考えられています。


興味深いことに、日本最古級の絵巻『鳥獣戯画』には、縞模様のスイカを思わせる果実が描かれており、江戸時代の『農業全書』(1696年)にはすでに品種の違いについても記録されています。



日本ならではのスイカの食べ方といえば、「塩」を振ること。

少量の塩が甘みを引き立てるという、日本人ならではの知恵です。

一方、世界に目を向けると、ギリシャではフェタチーズ、イタリアではレモン汁、フィリピンでは砂糖、南米ではチリソースを合わせるなど、実にさまざまな楽しみ方があります。

爽やかな味わいを楽しみたいなら、レモン汁を少しかけてみるのもおすすめです。



著名人も愛した味

俳人・正岡子規は、病床にあってもスイカを愛し続けました。

随筆には、「夏の一切れのスイカこそ、生きる力を与えてくれる」とも受け取れる一節が残されており、夏の味覚への深い愛情が感じられます。



お得に購入するなら

千葉県富里市は、日本有数のスイカ産地として知られています。

また、熊本県も全国屈指の名産地です。

7月中旬になると、各地のJA直売所では、大玉スイカが驚くほど手頃な価格で販売されます。


7月・スイカ価格の目安

商品

価格(税込)

大玉スイカ(1玉・産地直売)

1,500~2,500円

大玉スイカ(1玉・スーパー)

2,500~4,000円

小玉スイカ(1玉・スーパー)

800~1,500円

カットスイカ(スーパー・1/8カット)

300~600円


第六の目的地|全国──枝豆


「正岡子規の病床から飛び出した一粒の枝豆。それは、日本の夏の夜を象徴する、もっともやさしい風景だった。」

旅の最後にご紹介するのは、もっとも身近でありながら、もっとも日本の夏を感じさせる味覚――枝豆です。

7月から8月にかけては枝豆の最盛期。


高級居酒屋でも、街角の屋台でも、塩ゆでした枝豆と冷えたビールの組み合わせは、日本の夏に欠かせない定番の風景となっています。

枝豆の歴史は、想像以上に古く、大豆そのものは二千年以上前から日本で栽培されてきました。

未成熟の大豆を「枝豆」として食べる文化が定着したのは江戸時代とされています。



しかし、枝豆が日本文化の中で特別な存在となった理由の一つは、俳人・正岡子規が詠んだ有名な一句にあります。

枝豆や 三寸飛んで 口に入る

一見すると、ユーモラスな情景を詠んだ句ですが、その背景には深い感動があります。

この句を詠んだ翌年、子規は病のためこの世を去りました。

病床に横たわりながら枝豆のさやを押したところ、勢いよく飛び出した豆が、そのまま口へ入った――そんな何気ない瞬間を一句にしたのです。


不治の病と向き合う中でも、なお日常の小さな出来事を軽やかに詠み上げた子規の「遊び心」。

この一句は、日本文学史に残る、もっとも温かな「食の俳句」の一つとして今も親しまれています。

さらに興味深いことに、子規は随筆の中で、病床にありながら「見てみたいもの」の一覧を書き残しています。

そこには、

  • 映画

  • 動物園のライオンやダチョウ

  • そして「ビヤホール」

が挙げられていました。


文明開化の時代、日本にはビールと西洋料理が少しずつ広まり始めていました。

もし子規があと数年長く生きていたなら――。

きっとビヤホールで冷たいビールを片手に、枝豆をつまみながら笑っていたことでしょう。

そんな光景こそ、多くの日本人が思い描く「夏の夜の幸せ」なのかもしれません。

著名人も愛した味

正岡子規だけでなく、文豪・夏目漱石も枝豆を好んでいたと伝えられています。

『虞美人草』には、

「夏の夜、枝豆を摘みながら酒を飲む。これ以上の幸福を知らない。」

という一節が紹介されることもあり、日本の夏の情景を象徴する言葉として親しまれています。


お得に購入するなら


枝豆は全国各地のスーパーや農産物直売所で購入できます。

7月は価格も最も手頃な季節で、大袋でも500円以下で販売されることが少なくありません。

また、新潟県産の「つまり茶豆」は、全国枝豆選手権で最高金賞を受賞したことでも知られ、300gで約864円が目安です。


7月・枝豆価格の目安


商品

価格(税込)

枝豆(約200g・スーパー)

150~300円

枝豆(約500g・産地直売)

300~500円

新潟県産「つまり茶豆」(300g)

864円

居酒屋の枝豆(1皿)

300~500円


終わりに|7月の味覚は、季節がくれる贈り物


北海道のウニととうもろこし。

静岡・浜名湖のうなぎ。

山梨と岡山の桃。

千葉と熊本のスイカ。

そして、日本全国で親しまれる枝豆。

この六つの旬の味覚は、どれも自然が刻む「季節の時計」が生み出した贈り物です。


ウニは限られた数か月だけ、もっとも濃厚な甘みを蓄えます。

とうもろこしは収穫後わずか数時間で糖度が下がり始めます。

うなぎは土用の丑の日を迎える頃、もっとも脂がのります。

桃やスイカは、真夏の太陽をたっぷり浴びて初めて最高の甘さになります。

そして枝豆は、さやがまだ若くやわらかいうちに収穫されるからこそ、あの瑞々しい美味しさが生まれるのです。


これらの食材が教えてくれることがあります。

本当に美味しいものは、大量生産では生まれません。

それは、限られた季節、限られた土地でしか出会えない特別な恵みであり、その瞬間のために旅をする価値があります。


映画には終わりがあり、旅にも終着点があります。

けれど、味覚の記憶だけは、いつまでも心に残り続けます。


7月の北海道で味わったウニが舌の上でとろけた瞬間。

美瑛の白いとうもろこしをかじった時の、みずみずしい甘さと弾ける食感。

土用の丑の日、香ばしい蒲焼きのたれが白いご飯へと染み込んだ、あの幸福なひととき。


そうした記憶は、きっと一生の宝物になるでしょう。

今年の7月は、日本列島を北から南へ巡る「味覚の旅」に出かけてみませんか。

海外まで足を延ばさなくても、日本そのものが世界有数の美食テーマパークです。

そして7月こそ、日本が一年でもっとも豊かで、もっとも美味しい季節なのです。




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