味覚の地図──まだ知らないアジアへⅡ
- IKIGAI旅行者

- 6月20日
- 読了時間: 5分
更新日:7月2日

2026.06.20
DESTINATION THREEラオス
ビエンチャン──忘れられた美食の宝庫

「海を持たない国が、東南アジア屈指の味覚の深さを秘めている。」
ラオスは東南アジアで唯一の内陸国である。
観光客で溢れるビーチリゾートもなければ、世界的ホテルチェーンが立ち並ぶわけでもない。
だからこそ、この国の食文化は驚くほど純粋な姿を残している。
ビエンチャン中心部にある「Kualao」は、“ラオスの迎賓館”とも呼ばれる名店だ。
伝統的な木造建築の美しい空間には、これまで数多くの国家元首や外交関係者が訪れてきた。
夜にはラオス伝統舞踊の公演も行われる。
しかし、この店の真の主役は料理である。
中でもぜひ味わいたいのが、ラオスを代表する国民食「ラープ(Laap)」だ。

ラープという言葉は、パーリ語の「幸運」「幸福」「繁栄」に由来するといわれる。
炒めた挽肉に魚醤、ライム、ミント、炒り米粉を合わせた一皿で、爽やかな酸味と香り高いハーブ、そして力強い旨味が特徴だ。
一口ごとに味覚が弾けるような感覚を覚える。
ラオス政府はこの料理をユネスコ無形文化遺産への登録候補として推進しており、まさに国家を象徴する味と言えるだろう。

初めてラオスを訪れるなら、「モックパー(Mok Pa)」も外せない。
魚をバナナの葉で包み蒸し上げる料理で、カンボジアのアモックと似ているが、より素朴で繊細な味わいを持つ。
ココナッツミルクは控えめで、香草の清々しさが際立つ。

そしてぜひ一緒に味わいたいのが、ラオス人の主食であるもち米だ。
手で小さく丸め、料理につけて食べる。
その所作も含めて、ラオスの食文化なのである。
そして、日本人が「一口目で驚き、二口目で恋に落ちる」料理がある。
「タム・マークフーン(Tam Mak Hoong)」、ラオス風青パパイヤサラダだ。
タイのソムタムを知っている人でも、ラオス版には驚くだろう。
発酵魚醤や塩漬けの蟹が使われ、その香りは強烈だ。
初めて嗅いだ日本人の多くは、本能的に一歩後ずさりするかもしれない。
しかし、どうかそこで諦めないでほしい。
発酵による濃厚な旨味。
青パパイヤの爽やかな歯ごたえ。
唐辛子の刺激。
それらが重なり合うことで、他では味わえない複雑な美味しさが生まれる。
帰国後もふと恋しくなる。
そんな不思議な魅力を持つ一皿である。

ビエンチャン おすすめレストラン
レストラン | おすすめ料理 | 価格 |
Kualao | ラープ(挽肉サラダ) | 60,000キープ(約800円) |
Kualao | モックパー(魚のバナナ葉蒸し) | 80,000キープ(約1,100円) |
Kualao | パンダンリーフ包み鶏 | 50,000キープ(約670円) |
Khop Chai Deu | ラオス風フレンチコース | 150,000〜250,000キープ(約2,000〜3,300円) |
屋台 | ラオス風青パパイヤサラダ | 20,000〜30,000キープ(約270〜400円) |



DESTINATION FOUR
インドネシア

ジャカルタ──パダン料理という華麗なる儀式「三十皿もの料理が一斉に並ぶとき、インドネシア人が“食べること”に決して妥協しない民族であることが分かる。」
インドネシア料理と聞いて、サテやナシゴレンだけを思い浮かべるなら、少し心の準備をしておきたい。
この先に待っている体験は、その印象を大きく覆すものになるからだ。
ジャカルタの「Restoran Garuda」は、スマトラ島メダン発祥のパダン料理レストランであり、現在ではインドネシア各地に展開している。
ただし、一般的なチェーン店を想像してはいけない。
店内に入ると、温かな照明に照らされた木の空間、オレンジ色の制服を着たスタッフ、そして濃密なスパイスの香りが一気に押し寄せる。
その瞬間、インドネシアの食の熱気に包み込まれる。
パダン料理の魅力は、何よりもその提供スタイルにある。
スタッフが何枚もの小皿を手に、数十種類の料理を一気にテーブルへ並べていく。
メニューを見て選ぶ必要はない。
必要なのは、味覚で投票すること。
気に入った料理を食べ、そうでないものはそのまま残せばよい。
会計は、実際に手をつけた料理だけが計算される。
この「まず並べ、食べた分だけ払う」という豪快さこそ、パダン料理ならではのもてなしなのである。

その満席の食卓で、王者のような存在感を放つのが「ルンダン(Rendang)」だ。CNNが「世界で最もおいしい料理」に選んだことでも知られる、インドネシアを代表する国民的料理です。
牛肉をココナッツミルクと十数種類のスパイスで長時間煮込み、ソースが完全に肉へ染み込むまで火を入れる。
口に入れた瞬間、牛肉はほろりと崩れ、噛む必要さえ忘れるほど柔らかい。
しかし、その後に訪れるスパイスの余韻は力強い。
一層、また一層と、香りが波のように広がっていく。

初めてインドネシアを訪れるなら、もちろん「ナシゴレン」も外せない。
ただし、日本のファミリーレストランで出会うそれとはまったく違う。
本場のナシゴレンは、甘口醤油「ケチャップマニス」をベースに、フライドガーリック、海老せんべい、半熟の目玉焼きを添える。
甘味と塩味、香ばしさと濃厚な旨味が重なり、鍋の熱気まで感じられる一皿である。

そして、日本人が「一口目で驚き、二口目で恋に落ちる」料理。
それが「ベベック・ゴレン(Bebek Goreng)」、インドネシア式の揚げ鴨である。
鴨肉をスパイスでじっくり煮込み、柔らかくしてから高温で揚げる。
皮は驚くほど香ばしく、肉はしっとりと濃厚。
日本の繊細で柔らかな鴨料理に慣れた舌にとって、最初の一口は衝撃的かもしれない。
しかし、その直後に広がるスパイスの香りと鴨肉の深い脂の旨味に、気づけば手が止まらなくなっている。

ジャカルタ/バリ おすすめレストラン
レストラン | おすすめ料理 | 価格 |
Restoran Garuda | ルンダン | 60,000〜90,000ルピア(約540〜810円) |
Restoran Garuda | パダン料理プレート(10〜15品) | 150,000〜250,000ルピア(約1,350〜2,250円) |
Merah Putih | クリスピーダック | 180,000〜250,000ルピア(約1,620〜2,250円) |
Made’s Warung | ナシゴレン | 50,000〜80,000ルピア(約450〜720円) |
屋台 | サテ(10本) | 30,000〜50,000ルピア(約270〜450円) |






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