IKIGAI投資シリーズ
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- 6月28日
- 読了時間: 7分

Mr. Anderson コラム
読者からのお便り
70歳・預貯金7,000万円・毎月20万円の収入。私はVOOを買うべきでしょうか?
掲載日:2026年6月28日

佐藤様、お便りをお寄せいただきありがとうございます。
ご質問は非常に具体的であり、同時に多くの方が抱えている代表的な悩みでもあります。
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026年という「金利があり、インフレがある時代」において、退職後、あるいは退職を間近に控えた富裕層の多くが、「銀行預金だけでは資産価値が目減りしてしまう。では、お金をどこへ振り向ければよいのか」と考えています。
今回は、ウォール街で20年以上資産運用に携わってきた立場から、佐藤様、そして同じような悩みを持つ読者の皆様へ、このテーマを分かりやすく解説したいと思います。
まずは基本から始めましょう。
1.アクティブETFとパッシブETF──まずは何を買うのかを理解する
「VOOを買うべきか」を考える前に、まずVOOとは何なのかを理解する必要があります。
VOOはパッシブETFです。
S&P500指数に連動するETFであり、米国を代表する約500社へまとめて投資する商品です。
つまりVOOを購入することは、Apple、Microsoft、Amazon、NVIDIA、Alphabet(Google)など、アメリカ経済を支える主要企業へ一括で投資することを意味します。
では、アクティブETFとの違いは何でしょうか。
アクティブETFは、ファンドマネージャーが独自の判断で銘柄を選び、市場平均を上回る運用成績(アルファ)の獲得を目指します。
一見魅力的ですが、大きく二つの課題があります。
第一に、運用コストが高いことです。
信託報酬は年間1〜2%程度になることも珍しくありません。
第二に、過去数十年間の統計を見ると、多くのアクティブファンドは長期的に市場平均を上回ることができていません。
一方、パッシブETFは市場そのものを保有するという考え方です。
指数を忠実に追随するだけなので、銘柄選択も売買タイミングの判断も不要です。
その結果、コストは極めて低く、VOOの経費率はわずか0.03%。
100万円投資しても年間の管理コストは約300円しかかかりません。
退職後の資産運用において、このメリットは非常に大きいと言えます。
運用者の判断を気にする必要もなく、売買を繰り返すことによる税負担も増えません。
市場全体を長期保有し、時間を味方につけることができます。
OOはまさに、その代表格です。
2026年6月には世界で初めて運用資産1兆ドルを突破したETFとなりました。
この実績には十分な理由があります。
2.2026年のアメリカ市場は、まだ投資に値するのか
次に考えるべきは、「今のアメリカ市場へ投資してもよいのか」という点です。
結論から申し上げます。
ウォール街全体としては強気ですが、その見方には大きな温度差があります。
まず良い材料から見てみましょう。
2026年前半、S&P500指数は約9%上昇しました。
しかも、この上昇は企業利益の増加によって支えられたものだと、フランクリン・テンプルトン研究所は分析しています。
つまり、株価だけが先行したのではなく、企業業績そのものが改善しているということです。
JPモルガンは年末目標を7,800ポイントへ引き上げました。
ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーは8,000ポイントを予想し、Yardeni Researchは8,250ポイントという強気予想を示しています。
FactSetによれば、アナリストの平均予想では今後12か月で約21%の上昇余地があります。
Bairdのストラテジストは、「利益成長と流動性に支えられた強気相場は2027年まで続く可能性がある」と述べています。
しかし、楽観だけではいけません。
まず、現在の株価水準は決して割安ではありません。
2026年6月時点のS&P500のシラーPER(CAPE)は約39.5〜41.7倍となり、過去25年間で最も高い水準にあります。
ITバブル絶頂期だった1999年に次ぐ高さです。
Morningstarは、今後の実質リターンは年間約3%程度まで低下する可能性を指摘しています。
さらに、ウォール街内部でも見方は大きく分かれています。
Stifel Nicolausは年末7,000ポイントと予想し、現在より約6%下落すると見ています。
バンク・オブ・アメリカも投機熱の高まりを警戒しています。
最も強気の8,250ポイントと最も弱気の7,000ポイントでは、実に1,200ポイント以上の差があります。
また、AI関連企業への依存度が非常に高いことも忘れてはいけません。
バークレイズによれば、2026年前半のS&P500上昇分の約87%は半導体・コンピューター関連企業が占めています。
市場を少数企業が支えている状態は、それ自体が一つのリスクでもあります。
3.佐藤様はVOOを買うべきか──私の答え
では、本題です。
70歳、預貯金7,000万円、毎月20万円の収入。
VOOを購入すべきでしょうか。
私の答えは、
「条件を満たすのであれば、十分に検討する価値があります。」です。
まず、次の条件に当てはまるか確認してください。
VOOが向いている方
✅ 少なくとも5年間は使う予定のない資金であること。
株式ETFには大きな値動きがあります。
2020年のコロナショックでは30%以上、2008年の金融危機では約50%下落しました。
近いうちに使う予定のお金は投資すべきではありません。
✅ 評価額が20〜30%下落しても慌てて売らない自信があること。
長期投資では暴落は避けられません。
大切なのは、その間も保有し続けられるかどうかです。
✅ 生活費として必要な資金ではないこと。
毎月20万円の安定収入があることは大きな安心材料です。
投資資金は生活費ではなく、余裕資金であるべきです。
✅ 長期投資の意味を理解していること。
VOOの過去10年間の年平均リターンは約15.6%ですが、毎年同じではありません。
30%上がる年もあれば20%下がる年もあります。
長期とは5〜10年以上を意味します。
VOOが向かない方
❌ 3年以内に資金を使う予定がある。
❌ 10%程度の含み損でも耐えられない。
❌ 米国市場への理解や信頼がない。
❌ 7,000万円が全財産であり、現金の余裕がない。
4.購入すると決めたら、どう買うべきか
もしVOOへの投資を決めるのであれば、私からは次の4点をお勧めします。
まず、一度に全額投資しないこと。
2026年の米国株は歴史的な高値圏にあります。
一括投資のリスクは決して小さくありません。
次に、積立投資を基本とすること。
毎月5万〜10万円程度を継続的に投資する方法が現実的でしょう。
7,000万円の預貯金と毎月20万円の収入を考えれば、この水準であれば生活への影響も少なく、時間分散の効果も期待できます。
より慎重であれば、毎月3万円程度から始めても十分です。
また、VOOへの投資額は預貯金全体の20〜30%以内に抑えることをお勧めします。
つまり最終的な投資額は1,400万〜2,100万円程度が一つの目安になります。
残りの資産は定期預金、国債、MMFなど、安全資産として維持しておくことが安心につながります。
そして最後に、「見ても売らない」という姿勢を持つことです。
VOOは短期売買を繰り返す商品ではありません。
資産形成の中核として、長期にわたり保有し続けることが重要です。
おわりに
佐藤様。
最後に一つだけお伝えしたいことがあります。
VOOは非常に優れた投資商品です。
低コストで分散性が高く、長期的にも優れた実績があります。
しかし、「良い商品」と「自分に合う商品」は必ずしも同じではありません。
70歳という人生のステージにおいて本当に重要なのは、「VOOが優れているか」ではなく、
「今の自分にとって適した投資なのか」
という視点です。
もし今回ご紹介した条件に当てはまるのであれば、毎月5万〜10万円を積み立てながらVOOを長期保有することは、十分合理的な選択肢でしょう。
一方で、条件に当てはまらないのであれば、無理をする必要はありません。
退職後の資産運用で最も大切なのは、最高のリターンを狙うことではなく、安心して眠れる毎日を維持することだからです。
最後に、ウォール街で私が学んだ最も大切な言葉を贈ります。
「過去の運用実績は、将来の成果を保証するものではない。」
投資判断は、ご自身の資産状況やリスク許容度を十分に踏まえたうえで、必要に応じて専門家へ相談しながら慎重に行ってください。
皆様の資産形成が実りあるものとなることを心より願っています。
―― Mr. Anderson

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