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- 2025年9月25日
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変わりゆく「お金の常識」
タイア富裕層が今こそ見直すべき資産運用4つのポイント
掲載日:2026年7月12日

2026年、日本経済はいま大きな転換点を迎えています。長年にわたり当たり前とされてきたデフレと超低金利の時代は終わりを迎え、「金利と物価が存在する経済」へと本格的に移行しつつあります。
日本銀行はマイナス金利政策を解除し、2026年6月には政策金利を1.00%まで引き上げました。これはおよそ30年ぶりとなる高い水準です。また、長期金利の指標である新発10年国債利回りも5月には一時2.8%まで上昇し、現在も2.77%前後で推移しています。一方、消費者物価についても、コアCPIは前年比約2%の上昇率を維持しており、「金利のある世界」がこれまでになく現実味を帯びています。

こうした環境の変化のなか、これまで「預貯金が最も安全」と考えてきた人ほど、気づかないうちに資産の実質価値を減らしている可能性があります。
日本の家計金融資産は約2,230兆円に達し、その約6割(約1,400兆円)は60歳以上の世代が保有しています。退職後のシニア層は日本最大の資産保有層であり、その資産運用の考え方がこれまで以上に重要になっています。
本記事では、退職後あるいは退職を間近に控えた富裕層(HNWIs)の方々に向けて、2026年の新しい経済環境のなかで実践したい「4つの資産運用のポイント」をご紹介します。
ここで目指すべきは、「資産を増やすこと」ではありません。
資産を減らさないことこそが最大の目的です。

第一のポイント「現金・預貯金信仰」から脱却する
長年続いたデフレ環境では、現金や預貯金は「最も安全な資産」と考えられてきました。しかし2026年、その常識は大きく変わり始めています。
インフレ率がおおむね年2%で推移する環境では、預金金利が物価上昇率を下回れば、現金や預貯金の実質的な購買力は徐々に低下していきます。つまり、「安全であるはずの資産」が、実際には静かに価値を失っている状態といえるのです。

リタイアした富裕層の資産配分を見ると、現金や預貯金の比率が非常に高いケースが少なくありません。「元本が減らない」という安心感は理解できます。
しかし、約30年ぶりに訪れた「金利のある時代」では、「元本が減らないこと」と「資産価値が守られること」は、もはや同じ意味ではありません。
インフレ時代において資産を守る第一歩は、生活に必要な資金を確保したうえで、それを超える現金・預貯金の一部を、適切な運用資産へと振り向けることです。
もちろん、無理に高いリスクを取る必要はありません。
大切なのは、「安全」の定義を名目上の元本保全から、実質的な購買力の維持へとアップデートすることなのです。

第二のポイント
「インフレヘッジ」を資産運用の土台に組み込む
物価上昇が当たり前となった現在、インフレに強い資産をポートフォリオの基盤として組み入れることは、もはや欠かせない考え方となっています。
2025年の主要資産のパフォーマンスを振り返ると、金(ゴールド)は前年比+59.9%と最も高いリターンを記録しました。インフレの長期化や米国経済の先行きに対する不透明感を背景に、「不安心理を映す資産」ともいえる金が大きく上昇した一年となりました。
もちろん、過去のリターンが将来も続くとは限りません。しかし、インフレ対策という観点から見れば、金やコモディティ、インフレ連動債などをポートフォリオに組み入れる意義は、これまで以上に高まっています。
また、2026年に注目される投資テーマであるフィジカルAI、防衛関連、エネルギー関連なども、中長期的な成長性とインフレ耐性の双方を備える可能性がある分野として期待されています。

ここで強調したいのは、「ハイリスク・ハイリターン」を目指すことではありません。インフレヘッジ資産を、ポートフォリオ全体の安定性を高めるための「保険」と位置付け、一定割合を組み入れることこそが、2026年の新しい資産運用の常識といえるでしょう。
第三のポイント
「安定した収益を生み出す資産」へシフトする
「金利のある世界」への回帰によって、長らく存在感を失っていたインカムゲイン資産が再び注目を集めています。
債券利回りの上昇により、過度なリスクを負わずとも一定の収益を期待できる環境が整いつつあります。2026年3月には10年国債利回りが2%を超え、市場では次の節目となる3%到達にも関心が集まっています。
リタイア世代にとって、安定したキャッシュフローを生み出す資産への転換は、もはや選択肢ではなく必要な戦略といえるでしょう。
具体的には、次の3つの方法が参考になります。

第一に、高配当株への分散投資です。
過去のデータでは、継続的に増配を続けてきた「連続増配企業」は、低配当銘柄と比較して平均リターンが高く、リスクも抑えられる傾向があります。2026年夏に注目を集める銘柄の中には、配当利回りが3%台後半に達し、アナリストから高い評価を受けている企業も見られます。
第二に、J-REIT(日本不動産投資信託)の活用です。
金利上昇への警戒感から一時売られたJ-REITですが、現在では多くの銘柄でNAV(純資産価値)倍率が1倍を下回り、分配金利回りの魅力が高まっています。割安な水準で投資できる好機と考えることもできるでしょう。
第三に、安定運用型のバランスファンドを活用する方法です。
国内外の債券、株式、REITなどへ分散投資を行うことで、専門家による運用を通じたリスク調整後リターンが期待できます。個別銘柄の選定に時間をかけたくない方にとっては、効率的に安定した資産形成を目指せる有力な選択肢です。
重要なのは、表面的な利回りだけを追い求めないことです。
高い配当利回りだけを理由に投資するのではなく、配当の継続性、企業の財務基盤、資産の裏付けなどを総合的に見極める姿勢が欠かせません。
これからの時代は、「利回り」以上に「質」を見極める力が重要になるのです。

第四のポイント
「資産承継」を見据えた長期的な視点を持つ
最後にお伝えしたいのは、リタイアした富裕層だからこそ持つべき視点です。
それは、「自分自身の人生」と「次世代への資産承継」を同時に考えるということです。
リタイア後の富裕層にとって最大の関心事の一つは、長年かけて築き上げた資産をできるだけ減らすことなく、円滑に次世代へ引き継ぐことではないでしょうか。
高齢世代に資産が集中する現在、相続税対策、遺産分割、事業承継といった課題は、ますます重要性を増しています。2026年度の税制改正でも、資産の早期移転を後押しする制度の拡充が進められています。
ここで見落としてはならないのは、相続対策と投資戦略は切り離して考えるべきものではないという点です。
贈与を前提とした資産移転と、自身の老後資金を確保するためのポートフォリオ設計を両立させること。また、不動産による相続税評価額のメリットと、金融資産による流動性確保とのバランスを考えること。
こうした総合的な視点こそが、本来のウェルス・マネジメントに求められる考え方です。
さらに、相続人自身も高齢化が進んでいます。
子ども世代だけでなく孫世代まで視野に入れた円滑な資産承継を実現するためには、早い段階から計画を立て、専門家へ相談することが極めて重要になります。

おわりに
「守り」と「行動」のバランスを
2026年の日本経済は、デフレからの完全な脱却と金利正常化という、まさに時代の転換点を迎えています。
この変化を「リスク」と捉えるか、「新たな機会」と捉えるかによって、今後の資産形成は大きく変わるでしょう。
リタイアした富裕層に求められるのは、高いリターンを無理に追い求めることでも、現金や預貯金だけに安心感を求めることでもありません。
インフレに負けない資産構成を整え、安定した収益を生み出す仕組みを持ち、さらに次世代への資産承継まで見据えた長期的な視点を備えること。
今回ご紹介した4つのポイントを総合的に実践することが、変化の時代において「資産を減らさない」ための最も現実的なアプローチになるでしょう。
変化を恐れず、しかし焦って行動しない。
「守り」と「行動」のバランスこそが、これからの富裕層に求められる本当の知恵なのです。
※本記事は情報提供を目的として作成したものであり、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。また、将来の投資成果を保証するものでもありません。実際の投資判断にあたっては、ご自身の資産状況やリスク許容度を十分に踏まえたうえで、必要に応じて専門家へご相談ください。



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